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上顎奥歯の骨が足りない場合に骨を補填するソケットリフトの利点、欠点とは?
上の奥歯の骨にインプラントを埋入しようとしても、インプラント
の長さより骨の長さが不足している場合、その不足分を人工骨で補填
する方法が、ソケットリフトまたはサイナスリフトというものです。
歯茎のどの部位から骨を補填するかによって、名前が違います。
歯茎の横から骨に孔を開けて行うのがサイナスリフト、歯茎の
上の部分から行うのがソケットリフトです。上顎洞にはその内側に
上顎洞粘膜という薄い膜があります(青い矢印)。
まずはその膜を骨からはがすことから始まります。
歯茎の上の部分から(緑の丸印)から孔を開けて、上顎洞粘膜を骨か
らはがして、人工骨を填入していきます。上顎洞粘膜は「逆Uの字」
のような形状で持ち上がっていきます。少しずつ人工骨を補填しま
す。そして埋入予定のインプラントがすべて骨の中に納まるよう、
時々レントゲンを撮影しながら確認していきます。
確認ができたら、その日にインプラントを埋入することもありますし
数か月後にインプラントを埋入こともあります。
ところが上顎洞粘膜は非常に薄くタマゴの膜程度の厚みです。
さらに歯周病の歯や根管治療がうまくいっていない歯の影響で、
膜が脆弱になります。つまり破けやすいのです。そのため人工骨を
補填する際に、上顎洞粘膜が破けて「人工骨が上顎洞内に散乱する」
ことがあります。(赤い丸印)散乱すると急性上顎洞炎を併発し
人工骨やインプラントを撤去することになります。
幸い上顎洞炎を併発しなくても、補填した人工骨が少なくなってしま
うので、治療結果が良好でない場合もあります。ですから
ある程度の骨の厚みがあれば心配ありませんが、厚みが5ミリ以下に
なるとリスクが高くなります。
次回はサイナスリフトやソケットリフトを回避して、なるべく安全な
エクストラワイドのショートインプラントを用いた
インプラント治療について説明します。