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他院で左上奥歯を抜歯しインプラント埋入を依頼された症例
1、術前診断、治療計画
左上奥歯が欠損しており
インプラント治療を希望し
来院された患者様です。
見て頂いて、お分かりにように
欠損している歯の両脇の歯は、
まだ治療経験のない綺麗な歯です。
ここにブリッジを入れると
両脇の綺麗な歯を削ることになります。
歯を長く持たせるには、歯を削らないことですが、
では削らない方法は
入れ歯です。
入れ歯は外れやすいし、食事のたびに
外さないと、食べ物がたまり、不快ですね。
審美を気にする患者様なら
入れ歯の針金が気になるかもしれません。
最後はインプラントですが、
歯を削らない。
食事はよく噛める。
保険がきかない。
手術が必要。
などの特徴があります。
治療方法を選択しやすいように
当クリニックでは、それぞれの治療方法の
特徴を十分説明しています。
インプラントのサイズは
太さ3、75ミリ 長さ10ミリを
使用する予定ですが
CTで確認すると
上顎洞までの骨の厚みが
1~2ミリ不足していましたので、
上顎洞内に人工骨を入れて
インプラントの埋入スペースを
確保するため、ソケットリフトを
併用することに致しました。
2、インプラント1次手術、2次手術
他院で抜歯した部位にインプラントを
埋入する場合は、念のため再度
掻爬することになります。
抜歯するということは
そこには何らかの炎症がありますので、
万が一少しでも炎症部分が残っていると
インプラントに感染する可能性があります。
抜歯し、数年経過してしっかり骨になっていれば
問題ありませんが
抜歯してから2~3か月しか経過していない
このような症例では、特に注意が必要です。
念のためインプラント窩を形成後
再度掻爬を行ってから
スプラインHAインプラントを埋入し
歯肉を閉じ、縫合して手術は終了です。
この後の処置のことですが
患者様から
「歯がないところには、仮歯は入るのですか?」
とときどきご質問を頂きます。
答えは
何も入れないのがベストです。
インプラントは埋入してから24時間後には
骨と結合し始めます。
ですから
▲両脇の歯に接着剤で固定する
▲部分入れ歯をつくる
等の方法がありますが
噛む力によって、ずれたり、動きますので
インプラントと骨との結合を阻害する原因のひとつになりかねません。
今回の場合は
奥歯ですので
見た目や噛むことに対して
なんとかご辛抱していただきました。
ありがとうございました。
(ただし、前歯やそれに近い部位では
気になる患者様も多いともいますので、
暫間インプラントを用いことになります。)
画像1の説明
歯肉を切開、剥離してインプラントを埋入する
窩を形成したところです。
画像2の説明
人工骨をインプラント窩に入れているところです。
画像3の説明
スプラインHAインプラントを埋入したところです。
3、被せものの装着、メンテナンス
インプラントを埋入し、3か月を経過したあと
インプラントとその周りの骨がしっかりと結合していることが
確認できたあと、被せものの製作に移ります。
当クリニックではぺリオテスターという機械を用いています。
骨との結合の度合いを数値化して判断します。
被せものはジルコニアでできたネジで止めるタイプです。
メンテナンスは
患者様の
清掃状態
歯周病への罹患の度合い
年齢
通院時間
噛む力
インプラントの本数
インプラントの埋入部位
被せものの形態
などさまざまな条件からみて
メンテナンスの期間を設定します。
この患者様は清掃状況は綺麗で安定されていますので
4か月に一度のメンテナンスを行うことになりました。
画像4の説明
インプラントの被せものを装着したところです。
現在の被せものの形態はかみ合わせの部分に
直径3ミリのホールが形成されていて
そこからネジで固定する方法がとられています。
理由のひとつは被せものに用いる接着剤がインプラント周囲炎の原因の
ひとつになることが分かっているからです。
直径3ミリのホールは合成樹脂で埋めておきます。
検査代
CT撮影 12000円+税
その他保険負担金がかかります。
相談料
無料
治療費
インプラント1本 35万円+税
期間
4~5か月程度