記事タイトル
左下奥歯3本欠損部分にインプラント3本
1、術前診断、治療計画
他院で治療中の患者様です。
左下がかなり大きく吸収してます。
インプラントを希望していますが
埋入するだけの神経までの骨の厚みがなく
人工的に顎の骨を再生する処置(GBR)を勧められています。
しかし
その処置を回避してなんとかインプラントを埋入してほしい
いう希望で来院されました。
術前のCT診断の結果は
下顎管神経までが6~7ミリしかありません。
インプラントは長さは10ミリあれば、
大丈夫ですが、
最近では
インプラントの長さが8ミリのショートインプラントも
予後(インプラント手術後の経過)も
遜色ないという結論がでています。
それでも1~2ミリだけ骨の厚みが足りません。
他院で勧められた骨を作る方法(GBR)は
歯肉を切開、剥離する面積も大きくなりますし、
処置の時間も長くなりますので、
術後は痛みがかなり大きくなる可能性が高くなります。
GBRは骨がないところに骨を足すことですが
足した骨は、長期にわたり吸収しやすく残っている確率は
すくないことも分かってます。
さらにこのケースでは
骨の幅ではなく骨の高さが必要で
幅より高さを増やすのはむずかしく
その部分はオトガイ神経が近接しており
神経麻痺に対するリスクも高くなります。
以上のような様々な理由により
「GBRを行い通常の長さのインプラントを用いて
インプラント手術を選択することは困難」と診断しました。
そこで
GBRをせずインプラント埋入が可能なバイコンインプラントを
使用することにしました。
治療計画は
欠損している左下5番~7番に3本バイコンインプラントの
ショートタイプ(長さ5ミリ)を使用します。
このような欠損では2本インプラントをいれて3本ブリッジを
選択する場合もありますが
今回の症例では
バイコンインプラントの原則は
1歯の欠損に対して1本インプラントを埋入すること
であり
3本欠損に対して、3本のインプラントで対応することにしました。
2、インプラント1次手術、2次手術
CT診断と3D画像に基づき
バイコンインプラントのショートタイプ(幅4ミリ、長さ5ミリ)の
インプラントを埋める穴(インプラント窩)を
形成していきます。
通常は規格されたインプラントドリルを使用していきますが
神経までの骨の厚みがないため
ドリルではその神経を傷つける可能性があるので
ピエゾサージェリーという器具を用います。
手術中は
神経までの距離を確認するため
CT撮影を行います。
インプラント埋入後3か月間は
インプラントが被せ物を入れて
噛む力に耐えられるだけしっかり顎の骨と
結合するのを待ちます。
この3か月間は
2~3週間おきに来院いただき、自覚症状の有無、歯肉の状態
さらにはレントゲンの状態を確認し
ペリオテスターという器具で
骨とインプラントが結合していることを確認します。
ペリオテスターで0~マイナス7の値が表示されると
次のステップである
被せ物の製作に進んでいきます。
3、被せ物の装着、メンテナンス
数回の試適を行い被せ物の大きさや
高さなどの確認を取り
患者様と一緒に色合わせ(シェードテイキング)を行い
歯の色を決定していきます。
続いて
ジルコニアを材料に使いCAD/CAMで
被せ物を作成します。
特にジルコニアステインは、セラミックの欠点である破折のリスクが
ほとんどありません。
現在インプラントの被せ物は
主にジルコニアが使われています。
審美性にも優れています。
さらにプラークの沈着がほとんどありませんので
口腔清掃もとても便利です。
メンテナンスは担当制です。
毎回同じ歯科衛生士がお口の中の清掃状況をチェックし
清掃が不足しているところは歯ブラシ方法を
再度説明します。
バイコンインプラントの被せ物は他のインプラントと異なり
接着剤は一切使用しませんので
接着剤によるインプラント周囲炎を防ぐことができます。
このように顎の骨が吸収しインプラントを入れるために
GBRを行うことは一つの選択肢であることは
間違いありません。
ただし予後も通常のインプラントとそん色ない
ショートインプラントを用いて
患者様にGBRより痛みや腫れを抑えて
インプラントを行うことも別の一つの選択枝と
考えています。
検査代
CT撮影 12000円+税
その他保険負担金がかかります。
相談料
無料
治療費
インプラント1本 (35万円+税)×3
105万円+税
期間
5か月程度