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顎の骨が薄い上顎奥歯のインプラント手術において、「骨を足す」ことのリスクは?
1、インプラント埋入前
左上の一番奥歯(黄色い矢印)の歯根が破折(黄色い丸印)していま
す。この歯はブリッジを支えているので、この歯を失うことによっ
てブリッジを支える歯がなくなると、入れ歯またはインプラントの
二つの治療方法しかありません。歯の神経を取ると、歯は乾燥します
。そのために奥歯やブリッジを支える歯は割れやすいので、なるべく
神経を取らないうちに歯科医院を受診してください。
2,インプラント埋入
患者様と治療計画を相談した結果、インプラントを選択されました。
今回は左上奥歯です。この部位でのインプラント埋入で重要なこと
は、顎の骨の厚みです。レントゲン画像において、青いラインで囲ま
れた部位が人工骨を補填した部分です。2本のインプラントの50%~
70%が骨が不足していたということになります。この方法はソケット
リフトといわれ、サイナスリフトとともに上の奥歯にインプラントを
埋入する場合、骨の厚みが足りない時にインプラントの埋入前
またはインプラント埋入時に行います。この方法の注意すべき点は
人工骨が副鼻腔内に拡散してしまうと、急性副鼻腔炎を起こす可能性
が高いということです。これは補填する人工骨量が多くなるほど
リスクは高くなります。現在では直系の大きいショートインプラント
を使用することで、人工骨を使用せずにインプラントを埋入すること
ができるようになりました。そのため今までよりも手術時間は短く、
副鼻腔炎を発症するリスクも軽減できます。
3,被せ物の装着
今回の症例のように、顎の骨が薄いケースは治療期間が長くなります。
それは骨が薄く、埋入するインプラントの長さより足りないだけでなく
骨からの出血量や骨の硬さ等様々な要因によります。