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他院で左上奥歯を抜歯し顎の骨が薄いのでインプラントができないと相談に来院された症例
他院で左上奥歯(黄色い矢印)を抜歯しインプラントを希望されまし
たが骨が薄いのでインプラントはできないと診断された患者様です。
このようなお悩みの患者様は多くいらっしゃいます。では骨が少ない
ので骨を足してからインプラントを埋入という治療方法は当クリニッ
クでも以前は行っていましたが、今はほとんどそのような治療方法は
行わずインプラントをご希望される部位が抜歯してそれほど経過して
いなければ何もせずに骨の再生を待つようにしています。個人差はあ
りますが、2か月~4か月である程度の骨の再生は期待できます。ただ
しその再生量はほぼわずかですが、CT画像でインプラントが埋入でき
ると判断すれば手術を行います。その理由としてはインプラントの形
状の進化にあります。このブログでも時々お話しているように、イン
プラントは細長い筒状の形からサイコロ状した形状のものが開発され
ました。細長い筒状の形状のインプラントに比べてサイコロ状した形
状のインプラントは骨との結合も早く、人工骨を一切使用せず埋入で
きるため、術後の合併症(急性上顎洞炎)の歯性のリスクもほとんど
ありません。さらにはインプラントの幅が最大8ミリと従来のインプ
ラントと比べ大きく径が大きいので、インプラント周囲炎のリスクを
大きく軽減することができます。インプラント手術時間は人工骨を
上顎洞内に填入する手間がなくなりますので、大きく短縮することが
できます。このような様々な利点を持つワイドタイプのショートイン
プラントを使用することにより患者様への負担を減らし優しいインプ
ラント治療を目指しています。
1、インプラント埋入前
来院時には他院で抜歯した歯茎は治癒していましたが、骨は薄いとこ
ろで1ミリしかなくこのまま4か月経過を診ました。
2,インプラント埋入
4か月後インプラントを埋入します。幅7.5ミリ、長さ7ミリのワイド
タイプのショートインプラントを使用しました。骨は厚みは2ミリ程
度でした。長さ7ミリに対して骨の厚みは2ミリですので、5ミリ骨は
足りませんが、人工骨は使用せずインプラントを埋入します。足りな
い骨の部分は数か月~数年後にはインプラントの周りに患者様の骨が
再生するようになります。これはどの患者様にも備わっている体の
メカニズムですので、上の奥歯にはこれを利用してインプラントを
埋入します。人工骨など体に異物を入れることはしませんので安全で
す。人工骨というとどうしても感染するリスクは拭い去ることは出来
ませんが、人工骨の使用しませんのでその感染のリスクをなくします
。